フューチャリスト宣言

フューチャリスト宣言 (ちくま新書)

フューチャリスト宣言 (ちくま新書)

アマゾンのコンピュータ・インターネット分野におけるベストセラーTOP20を,Google Gadgetを使って日々チェックしているんですが,この本は出版されてからほぼずーっとランクインしていますね。プログラミング大好き人間な立場から読みました。その結果、ブログを続けよう!オープンソースの世界に貢献しよう!と改めて決意しました。

まず「フューチャリスト」とは,

専門領域を超えた広い視点から未来を考え抜き,未来のビジョンを提示する者

だそうです。どうやら,狭く深く物事を極める研究者/プログラマーとは対極的な人,という感じですね。

この本の内容は,予想通りグーグルやシリコンバレーでの事例を紹介しながらインターネットの秘める可能性等が論じられています。「ウェブ進化論」やその他ブログ記事を既に読んでいたので,そういう面についてはあまり真新しい感じはしませんでした。

ただ,茂木氏による,脳という視点からインターネットの特性を議論しているところが面白いと思いました。

脳の神経細胞ネットワークは,偶有性(セレンディピティ:ある事象が半ば偶然的に半ば必然的に起こるという不確実な性質)を持っていて,その組合せによって今のコンピュータには発揮できない人間の創造性というものを生むそうです。そして,その偶有性がインターネットにもあるのではないかと。この偶有性を得るには,友達同士でしか読めないSNSより,検索エンジンにひっかかるようなパブリックな場でブログを書いたほうがよい,という主張がなされています。思わぬ人が思わぬ有益なコメントをつけたりするそうです。一方,心無いコメントもあるが,現在のインターネットはまだ過渡期であり,ネット上におけるリテラシがまだきちんと形成されていないので仕方ない、ちょっとやそっと傷ついたとしてもぐっと踏みとどまることで、上記のようないい出会いが得られる。。。

私もそう思いました。だからこそ、実名でこの日記を始めました。もっと早く始めればよかったと後悔しています。まだまだ始めたばっかりでコメントやトラックバックがつきませんが、辛抱強く続けて上記のようないい出会いがあればいいな、と思っています。

次に,ある行動に対し周囲に認められたりほめられたりすると,大脳皮質の下からドーパミンという神経伝達物質が放出され,快楽を得るそうです。このような快楽が得られると,脳はその行動にともなう神経細胞の活動をより強く再現しようとするそうです。そして,次はもっと強くドーパミンが放出されるこの仕組みを「強化学習」というそうです。

ブログのコメントでポジティブなものを受け取ったり,オープンソースでの活動に感謝されると,ドーパミンが放出され,もっとオープンソースに貢献したくなる。。。確かにそうかもしれません。実際、会社生活の中でも、さっと作ったスクリプトやツールを使ってもらって「これいいね!」とか「便利だね!」って言ってもらうと、めちゃくちゃ嬉しいし、もっと良いものを作ろう!って思います。

私は現在の研究生活に非常に満足していて楽しんでいます。いろいろソフトを作って会社(の仲間たち)に対して貢献してきたつもりです。ただ、今後悔しているのは、ほとんどオープンソースの世界に対して貢献できていないことです。しまったなー、と思いました。様々なオープンソースプロダクトを調査してそれらを有効活用し、その開発者たちに敬意を表しつつ、まったく恩返しできていないのです。

ですから、今後は自分の専門性を生かし、どんどんオープンソースの世界に貢献したいと考えています。