フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)

この本は,上下巻の2冊から成る本の下巻です。

上巻の最後の方で,怠けずにイノベーションを継続し,後進国に追いつかれないように努力を続ける限り,我々は発展しつづけることができる,と述べられています。

下巻では,まずアメリカは努力を続けているか?という検証をしています。結論はNoで,アメリカにおける教育問題について述べられています。ブッシュ政権は教育に対する予算を削減していると同時に,初等教育のレベル低下を指摘しています。

下巻で面白いのはこの後で,発展途上国アラブ諸国がフラット化された世界の人々とおなじ土俵に上がる(ネットワークに容易にアクセスできる)ための政策について述べられています。そして,是非彼らも同じ土俵に上がってほしい,と訴えています。その理由は?現在の彼らは,今日を生きることに精一杯で,イノベーションのために頭を使うことができないが,ネットワークに容易にアクセスできるようになれば,生活レベルが向上するチャンスが生まれ,彼らもイノベーションできる。そうすれば,イノベーションに努力する人間の絶対数が劇的に増加し,さまざまな問題(地球温暖化等)を解決できる!と述べられています。

もちろん,彼らの生活レベルが向上すると,二酸化炭素の排出量は激増してしまうためイノベーションが不可欠です。彼らが同じ土俵に上がるか,イノベーションが先か?というジレンマが発生したりして。

地球温暖化問題を解決するイノベーションを我々が既に確立してから,彼らが同じ土俵に上がるのが一番良いのかも。

下巻では,アルカイダによる9.11によって,フラット化が後退する懸念も述べられていて,同感です。先日も新聞で読んだんですが,9.11をきっかけに米国による情報規制が強化され,ひょっとすると様々な学会の論文が公開されなくなるかもしれません。こうなってくると,まさにフラット化の逆方向です。

我々は努力を惜しまずイノベーションを続けるとともに,お互いに信頼できる世界を築く必要がありますね。