Eclipseプラグイン開発徹底攻略

Eclipseプラグイン開発徹底攻略―Eclipse 3.2対応

この本はEclipseプラグイン入門者および中級者の双方に良い，素晴らしい本だと思います。良い意味で広ーく浅く書かれています。

この本の凄いところは，約3/5にプラグイン開発の基本事項を網羅しつつ，残りの約2/5で，JDT，EMF，GEF，WTPの概要を説明しているところです。

まずプラグイン開発の基本事項については，ごくシンプルな例を用いて平易な文章で分かりやすいです。ヘルプ，国際化，プラグインの配布等まできちんとカバーされています。しかもEclipse Forms UIにも独立した章が設けられていて，よく使われるMaster/Detailsブロックについても説明されています。

残りの2/5である，JDT，EMF，GEF，WTPについても，ごくシンプルな例を用いて分かりやすく説明されています。概要＋αをつかむには非常に良いと思いました。僕の場合，GMFを使っている一方，そのベースとなっているGEFをほとんど理解できていませんでしたが，この本のおかげで概要を掴むことができました。

また，ところどころでプラグイン開発に使える便利なプラグインの紹介がいくつかあって，初めて知るものもあってよかったです。(JarSearchプラグインとかTPTP's Automated GUI Recorderとか）

このようにシンプルな例を用いて分かりやすく書かれているので入門者向けだと思います。一方で，上記のように内容が広いので，中級者向けとも言えるのでは，と思いました。

ただ，Eclipseプラグイン開発やEMFを用いた開発ではより深い知識が必要で，それらはあまり触れられていません。たとえば，IAdaptableインタフェースとして出てくる拡張オブジェクトパターンは，Eclipseプラグイン，EMFの中心的なトピックで，これを理解しないと行き詰ることがありそうです。

ちなみに，拡張オブジェクトパターンについては，「Eclipseプラグイン開発」や「プログラムデザインのためのパターン言語」に詳しい説明があります。クラスを拡張することなく機能を追加する，という凄いパターンです。

Eclipseプラグイン開発

プログラムデザインのためのパターン言語―Pattern Languages of Program Design選集